塩と聞くと、多くの人がまず「しょっぱさ」を思い浮かべます。しかし塩は産地や製法によって、ミネラルの含有量も味わいも大きく変わる食品です。日本最北端の海、宗谷海峡で作られる「宗谷の塩」は、その違いを実感しやすい一品だとされています。
流氷が育てる最北端の海
宗谷海峡は、北海道とサハリンの間に横たわる海域です。冬になると流氷が接岸し、日本で最も寒さの厳しい海のひとつとして知られています。この流氷こそが、宗谷の海の栄養を支える存在です。流氷にはプランクトンの餌となる鉄分などが含まれており、これが解けることで海の栄養循環を促すと考えられています。
宗谷の塩を製造する田上食品工業は、この海域の海底からろ過して海水を汲み上げています。地表近くの海水ではなく、あえて海底の水を使うのは、より清浄で安定した水質を得るためだとされています。稚内市が認定する「稚内ブランド」にも名を連ねる、地域を代表する特産品です。
ミネラルの多さという個性
宗谷の塩の特徴は、その製法にあります。汲み上げた海水を濃縮し、加熱したドラムに吹き付けて水分だけを飛ばす製法で仕上げるため、海水に含まれるマグネシウムなどのミネラル分が塩の結晶に多く残ります。マグネシウムの含有量は100gあたり3,000mgを超えるとされ、国内の塩の中でも指折りの数値です。
精製塩と違い、ミネラルを多く含む塩は角のないまろやかな塩味になりやすいと言われています。同じ「塩化ナトリウム」というくくりでも、産地の海の状態や製法次第で味わいの印象が変わってくるのは、日本各地の塩を食べ比べてみると分かりやすい発見のひとつです。
稚内から届く、最果ての結晶
宗谷の塩を手がける田上食品工業は、稚内市に拠点を置くメーカーです。日本最北端の地で作られる塩として、稚内ブランドの認定を受けています。パッケージからも、流氷と冷たい海というこの土地ならではの風土が伝わってきます。
北海道は鮭、ホタテ、じゃがいもなど、海と大地の恵みが豊富な土地です。同じ北の海で育った塩を、同じ北海道の食材に合わせるという楽しみ方は、産地の物語をそのまま食卓で味わう体験だと言えるでしょう。
楽しみ方・選び方
- 鮭やホタテなど魚介の下ごしらえの振り塩に
- 蒸したじゃがいもにバターと一緒にひとつまみ(じゃがバター)
- ラーメンスープの仕上げの一振りに
- おにぎりの塩むすびで、ミネラルの余韻を確かめる
- 焼き魚の下味や仕上げの塩として
普段使っている塩を宗谷の塩に置き換えるだけで、いつもの料理の印象が変わることがあります。まずは塩むすびなど、シンプルな料理から試してみるのがおすすめです。
よくある質問
宗谷の塩は普通の食塩と何が違いますか
一般的な食塩は塩化ナトリウムの純度がほぼ100%に精製されているのに対し、宗谷の塩は海水を濃縮して作るため、マグネシウムなど海水由来のミネラルを豊富に含みます。マグネシウム含有量は100gあたり3,000mgを超えるとされ、国内の塩の中でも際立った数値です。
なぜ宗谷の海で作る塩は特別なのですか
宗谷海峡は流氷が運ぶ栄養分によって、冷たく清浄な水質が保たれています。この海域の海底からろ過して汲み上げた海水を使うことで、雑味の少ない澄んだ塩に仕上がるとされています。
宗谷の塩はどんな料理に合いますか
鮭やホタテなど北海道産の魚介の下ごしらえに使うと、素材の産地との一体感が生まれます。じゃがバターやラーメンスープの仕上げなど、北海道の定番料理との相性が良いことでも知られています。
