だしを引く時間はないけれど、料理の色は濁らせたくない。そういう日に手が伸びるのが「白だし」です。
ただ、白だしは名前だけでは中身が分かりにくい調味料でもあります。白醤油とは何が違うのか、めんつゆで代用できるのか。整理しておくと、使いどころがはっきりします。
白だしは「だし+色の淡い醤油」
白だしとは、かつお節・さば節・昆布などのだしに、色の淡い醤油を合わせた液体調味料です。多くは濃縮タイプで、水や湯で薄めて使います。
ここで使われる醤油が、うすくち醤油か白醤油。どちらも色が淡いため、仕上がったつゆの色が琥珀色に留まり、素材の白さや野菜の緑を残したまま味を決められます。だしと醤油という和食の土台を、あらかじめ一本にまとめてある調味料だと考えると分かりやすいはずです。
白醤油との違いも、この構造から説明できます。白醤油は小麦を主体に仕込む、極めて色の淡い醤油そのもの。旨みの層はだし由来ではなく醸造由来です。白だしはそこにだしを重ねている——つまり、白醤油(またはうすくち醤油)は材料、白だしは合わせ調味料という関係です。
めんつゆとは、目的が違う
同じ希釈タイプの液体調味料でも、めんつゆとは狙いが異なります。
めんつゆは濃口醤油をベースに、みりんや砂糖で甘みを加えたもの。麺に絡んで味が立つよう設計されているため、色は濃く、甘みもはっきりしています。一方の白だしは、色を足さずに旨みと塩気だけを足す方向に振ってある調味料です。
だから茶碗蒸しにめんつゆを使うと、卵の色が茶色く沈みます。逆にざるそばに白だしを使うと、色も甘みも物足りなく感じます。どちらが優れているかではなく、色をつけたいか残したいかで選ぶ、という整理が実用的です。
元禄十二年、日本橋の鰹節商から
元禄十二年(1699年)、江戸・日本橋で鰹節商として創業したにんべん。三百年以上、かつお節とだしにこだわり続けてきた老舗です。
同社の「白だし」は、かつお節・さば節・そうだがつお節・昆布の合わせだしに、うすくち醤油を合わせた濃縮タイプ。節を三種重ねているため、薄めても旨みの芯が残ります。だしを引く時間がない日に、味の水準を落とさずに済む一本です。
秋田・角館の安藤醸造が仕立てた「白だし」も個性的です。かつおと昆布のだしに、この地ならではの岩魚のしょっつる(魚醤)をそっと合わせているのが特徴。魚醤のコクが加わることで、水で割るだけでも深い味わいになります。無添加でていねいに仕込まれた一本です。
使い方・選び方
- お吸い物・茶碗蒸し:白だしの本領。卵と出汁の色をそのまま残せます
- だし巻き卵:味付けが一度で決まり、黄色が鮮やかに仕上がります
- 煮物・炊き合わせ:里芋やかぶを白く煮上げたいときに
- 浅漬け・和え物:塩と醤油の代わりに少量。野菜の色が沈みません
- 選ぶときは原材料名を見る:節と昆布の種類、そして醤油がうすくちか白醤油かで、味の方向が変わります
まずは茶碗蒸しか、だし巻き卵を一度。色の違いは、飲む前に目で分かります。
よくある質問
白だしとは何ですか?
かつお節や昆布などのだしに、色の淡い醤油(うすくち醤油や白醤油)を合わせた液体調味料です。希釈して使うタイプが主流で、素材の色を濁らせずに旨みと塩気を決められるのが最大の特徴です。お吸い物・茶碗蒸し・煮物などに使われます。
白だしと白醤油の違いは何ですか?
白醤油は調味料そのもの、白だしはそれにだしを加えた合わせ調味料です。白醤油は小麦を主体に仕込む極めて色の淡い醤油で、それ単体ではだしの旨みはありません。白だしは、だしを引く工程をあらかじめ済ませてある点が違います。
白だしとめんつゆはどう使い分けますか?
色を残したい料理は白だし、色をつけたい料理はめんつゆです。めんつゆは濃口醤油をベースに甘みを加えるため、つゆの色が濃く仕上がります。茶碗蒸し・だし巻き卵・浅漬けなど、素材の白さや彩りを活かしたい料理では白だしのほうが狙った見た目になります。

