鰹節と一口に言っても、スーパーの削り節パックと料亭のだしでは、香りも旨みもまったく違うと感じたことはないでしょうか。
その差を生んでいるのが、「カビ付け」という工程の有無と回数です。
「荒節」と「枯節」、二つの鰹節
鰹節づくりは、カツオを煮て骨を抜き、いぶして乾燥させる「荒節(あらぶし)」の段階から始まります。スーパーでよく見かける花かつお(削り節)の多くは、この荒節を薄く削ったものです。
一方、荒節の表面にあえてカビを付け、天日干しをしては再びカビを付ける工程を繰り返したものが「枯節(かれぶし)」です。このカビ付けを4回前後、半年ほどかけて繰り返した最高グレードが「本枯節」と呼ばれます。
同じカツオから作られていても、手間のかけ方によって鰹節は別物になっていきます。
カビが鰹節の雑味を分解する
なぜカビを付けるのでしょうか。理由は、カビが鰹節に残る余分な水分と脂を分解してくれるからです。
脂やアミノ酸以外の雑味成分が減っていくことで、旨み成分であるイノシン酸だけがすっきりと際立っていきます。カビ付けと乾燥を繰り返すたびに、鰹節はより硬く、より軽くなり、澄んだ香りへと近づいていきます。手間を惜しめば、決してたどり着けない境地です。
240年、焼津が守る本枯節
カツオの水揚げ日本一の港町・静岡県焼津。この町で天明2年(1782年)から鰹節ひと筋に生きてきたのが、ちきり清水商店です。
「本枯節かつおパック」は、カビ付けと天日干しを4回繰り返し、半年をかけて熟成させた本枯節を、花びらのように薄く削って小分けにしたもの。江戸から続く手間の結晶が、パックを開けるだけで台所に届きます。1パックでおよそ400mlの一番だしが取れる手軽さも魅力です。
だしの引き方・楽しみ方
- 一番だし:沸騰直前のお湯に本枯節を入れ、数分置いてこす、シンプルな引き方で違いがわかります
- 味噌汁:いつもの味噌汁のだしを本枯節に替えるだけで、香りの立ち方が変わります
- 猫まんま:炊きたてご飯に醤油を一滴、本枯節をのせるだけの一杯で本領を発揮します
- 冷奴・おひたし:削りたての香りをそのままトッピングとして楽しめます
まずは一番だしをそのまま飲んでみてください。カビが磨き上げた半年間の手間が、澄んだ一杯になって伝わってくるはずです。
よくある質問
本枯節と花かつおは何が違うのですか?
花かつおは、いぶして乾燥させた「荒節」を薄く削ったものを指すことが多く、本枯節はその荒節にカビ付けと天日干しを4回ほど繰り返し、半年ほどかけて熟成させたものです。カビが余分な水分と脂を分解するため、本枯節はより雑味が少なく、澄んだ旨みが引き出されます。
本枯節はどれくらい熟成にかかりますか?
荒節ができあがってから、カビ付けと天日干しを4回前後繰り返し、およそ半年をかけて仕上げます。手間と時間がかかるため、鰹節の中でも最高グレードに位置づけられています。
本枯節はどんな料理に向いていますか?
味噌汁やおひたしなど、だしの味がそのまま料理の印象を決める場面に向いています。炊きたてご飯に醤油を一滴垂らして本枯節をのせる「猫まんま」でも、その旨みの違いがよくわかります。
