スーパーで手に取るチューブのわさび。ラベルをよく見ると、「本わさび入り」と「本わさび使用」で表記が分かれていることに気づきます。
実は、市販のチューブわさびの多くは「西洋わさび」を主体に作られています。私たちが「わさびの味」と思っているものの多くは、本来のわさびとは別の植物の辛みなのです。
本わさびと西洋わさび——そもそも別の植物
本わさびは、アブラナ科ワサビ属の植物です。なかでも、清らかな流水の中で育てる「沢わさび」が上質とされ、富士や安倍川の湧水に恵まれた静岡は、その名産地のひとつです。
一方、チューブ製品で広く使われる西洋わさび(ホースラディッシュ)は、畑で育つ別属の作物。辛みは鋭く強いものの、本わさび特有の、鼻に抜けたあとに残る爽やかな香りやほのかな甘みは、控えめだとされています。安価で大量に確保できるため、加工品の主原料として重宝されてきました。
香りと甘み——本わさびの「余韻」
本わさびの持ち味は、辛さそのものよりも、そのあとに来る香りと甘みにあります。
ツンとした辛みが鼻を抜けたあと、青々とした香りとやわらかな甘みが口に残る。この余韻の有無が、本わさびと西洋わさびを分ける一番の違いです。刺身や寿司、冷たい蕎麦に添えたとき、素材の味を消さずに引き立てるのは、この繊細な香りがあってこそです。
田丸屋本店 瑞葵——静岡の緑をチューブで
明治のはじめ、静岡に暖簾を掲げた田丸屋本店は、わさび漬でその名を知られる老舗です。
最上位ライン「瑞葵(みずあおい)」は、静岡県産の本わさびを使ったチューブわさび。ツンと抜ける辛みの奥に、本わさびならではの香りとほのかな甘みが感じられ、西洋わさび主体のものとは余韻がまるで違います。チューブでこの香りが得られるのは、産地と原料にこだわった上位ラインならではです。
選び方と楽しみ方
- 原材料表示で「本わさび」が先頭に、割合が高いものを選ぶ
- 刺身・寿司・冷たい蕎麦の薬味に、素材の香りを立てたいとき
- ローストビーフやステーキ、お茶漬けにも好相性
- 加熱すると香りが飛ぶため、仕上げや食べる直前に添える
いつもの一皿に本わさびを一筋。香りと甘みの余韻で、食卓が本物の顔つきになります。
よくある質問
本わさびと西洋わさびの違いは何ですか?
本わさびはアブラナ科ワサビ属の植物で、清流の中で育てる「沢わさび」が代表格です。西洋わさび(ホースラディッシュ)は別属の畑作物で、辛みは強い一方、本わさびのような爽やかな香りとほのかな甘みは控えめとされています。市販のチューブわさびは、コストの都合で西洋わさびが主体のものが少なくありません。
チューブでも本わさびは楽しめますか?
楽しめます。原材料表示で「本わさび」が前に記載され、配合割合の高いものを選ぶのが目安です。田丸屋本店の「瑞葵」のように静岡県産本わさびを使った上位ラインは、ツンとくる辛みの奥に香りと甘みが感じられます。
わさびはいつ加えるのがよいですか?
加熱すると香りが飛びやすいため、仕上げや食べる直前に添えるのがおすすめです。刺身や蕎麦の薬味はもちろん、ローストビーフやお茶漬けにもよく合います。
