「黄ニラ」という野菜をご存じでしょうか。名前のとおり、黄金色をしたニラです。写真で見るとニラというより、もやしや白髪ねぎに近い淡い色をしています。
緑のニラとは別の品種なのか、それとも育て方が違うのか。答えは後者です。そしてこの野菜は、ある一つの県がほぼ独占的に育てています。
光を遮って育てる「軟白栽培」
黄ニラは、光を当てずに育てたニラです。日光を遮ることで葉緑素がつくられず、緑にならないまま黄金色に育ちます。この手法を軟白栽培といいます。
光を遮るというひと手間が、味も変えます。葉はやわらかく、ニラ特有の強い香りは穏やかになり、代わりにほのかな甘みが立ちます。ニラが苦手という人でも食べやすい、と言われるのはこのためです。
ただし、育てる側の手間は増えます。遮光の管理が必要で、収穫までの手数が多い。だから黄ニラは、高級野菜として扱われてきました。
岡山県が全国シェアの約7割
この手のかかる野菜の主産地が、岡山県です。全国生産量のおよそ7割を占めるとされ、県を代表する食材のひとつになっています。
栽培は明治5年頃から続いてきたと伝えられています。百五十年ほどのあいだに、遮光と管理の技術が産地に蓄積した結果が、現在のシェアです。特定の県が一つの野菜でこれだけの比重を占める例は、そう多くありません。
岡山では、中華料理の彩りにも、郷土の祭り寿司にも使われてきました。地元では珍しくない野菜が、県外では名前すら知られていない——そういう食材の代表格です。
黄ニラしょうゆ——倉敷の蔵が一本にまとめた
その黄ニラを、醤油に仕立てた蔵があります。幕末の万延元年(1860年)、水と大豆と塩に恵まれた倉敷・酒津で創業したとら醤油です。
本醸造醤油に岡山県産の黄ニラと、鯛・昆布・椎茸のエキスを合わせた万能醤油。きっかけは「黄ニラをのせた鯛のムニエル」に感動した取引先の一言だったといいます。
発売後、「卵かけご飯に合いすぎる」とSNSで話題になり、年間約3万本を売るご当地ヒットになりました。畑の側で長く守られてきた野菜と、160年続く蔵の出会いが、新しい郷土の味を生んだかたちです。
使い方
- 卵かけご飯:まずはここから。黄ニラの香りとだしの旨みが卵に乗る
- 釜玉うどん:同じ理屈で相性がよい定番の使い方
- 冷奴・湯豆腐:かけ醤油としてそのまま
- 豚しゃぶのたれ・天つゆ:2〜3倍に薄めて
- 醤油の代わりに「かける」場面全般に使える万能タイプ
岡山の畑で光を遮って育てられた野菜が、一本の醤油になって県外の食卓に届く。黄ニラという名前を、まずは卵かけご飯で覚えてみてください。
よくある質問
黄ニラとは何ですか?普通のニラとどう違うのですか?
黄ニラは、光を遮って育てる軟白栽培によって黄金色に仕上げたニラです。緑のニラに比べて葉がやわらかく、香りは穏やかで、ほのかな甘みがあります。手間がかかるため高級野菜として扱われ、岡山県が全国生産量のおよそ7割を占めるとされています。
なぜ岡山県が黄ニラの産地になったのですか?
岡山では明治5年頃から栽培が続いてきたと伝えられています。光を遮って育てるという手間のかかる技術が産地に蓄積し、県の特産として定着しました。現在も全国生産量の約7割を占める、岡山を代表する食材のひとつです。
黄ニラしょうゆはどう使えばいいですか?
まずは卵かけご飯と釜玉うどんで試すのがおすすめです。冷奴や湯豆腐のかけ醤油にもそのまま使えます。2〜3倍に薄めれば、豚しゃぶのたれや天つゆにもなります。だしの旨みが入っているので、醤油の代わりにかける用途に向いています。
