胡麻油といえば、茶色くて香ばしいもの——多くの人がそう思っています。中華の炒め物や、仕上げのひと回しで立ちのぼる、あの香り。
ところが、色はほとんど透明、香りもほのかにしかない胡麻油があります。「太白(たいはく)」と呼ばれるこの油は、私たちの胡麻油のイメージを静かに裏切ります。
焙煎する・しない——製法が味を分ける
一般的な胡麻油と太白胡麻油の違いは、たったひとつ。「焙煎するかどうか」です。
普通の胡麻油は、胡麻を煎ってから搾ります。この焙煎の工程で胡麻に火が入り、茶色い色と、あの香ばしい香りが生まれます。対して太白胡麻油は、胡麻を焙煎せず、生のまま搾る製法。香ばしさのもとになる焙煎を省くことで、香りではなく、胡麻のコクと旨みだけを油に移します。だから色は淡く、香りも控えめになるのです。
「消す」ことでできる仕事
香りが薄い油は、一見すると物足りなく思えるかもしれません。けれど、そこにこそ太白の役割があります。
香りが穏やかなぶん、素材の味を邪魔しません。天ぷらに使えば衣が重くならず、和食に使えば出汁や素材の風味を消さずにコクだけを足せる。バター代わりに菓子に使えば、生地の味を生かしたまま、しっとりとした食感が生まれます。「主張しないからこそ、どこにでも使える」——素材の底力を引き出す名脇役です。
九鬼産業の太白——四日市、胡麻ひと筋140年
この油を代表するのが、三重・四日市の九鬼産業(明治19年創業)です。
胡麻の集積地だった港町・四日市で生まれ、140年近く胡麻ひと筋を貫いてきた製油メーカー。看板の「太白純正胡麻油」は、生搾りならではの淡い色と穏やかな香りが持ち味で、和食の料理人や菓子職人が指名する一本として知られています。
太白胡麻油の使い方
- 天ぷら・炒め物など、加熱調理全般に
- 出汁や素材の味を活かしたい和食に
- クセが少なく、離乳食の油としても
- シフォンケーキやクッキーなど、バター代わりの製菓に
- ドレッシングやマリネなど、生食でも風味を損なわず
一本あれば、和食から菓子まで幅広く使えます。「香りで語らない胡麻油」の便利さを、まずは天ぷらから試してみてください。
よくある質問
太白胡麻油と普通の胡麻油の違いは何ですか?
一般的な胡麻油は胡麻を焙煎してから搾るため、茶色く香ばしい香りが立ちます。太白胡麻油は焙煎せず生のまま搾るため、色はほぼ透明で香りもごく控えめです。香ばしさの代わりに、胡麻のコクと旨みだけを油に移すのが特徴です。
太白胡麻油はどんな料理に向いていますか?
素材の味を邪魔しないため、天ぷらや炒め物などの加熱調理全般、素材の味を活かす和食に向いています。クセが少ないので離乳食の油にも使われ、シフォンケーキやクッキーなどバター代わりの製菓用途でも人気です。
太白胡麻油はそのまま生でも使えますか?
使えます。香りが穏やかなので、ドレッシングやマリネなど生食でも素材の風味を損ないません。焙煎胡麻油のような香ばしさを足したいときは、仕上げに焙煎タイプを少量合わせる方法もあります。
