味噌汁の味噌と聞いて思い浮かべる色は、地域によってまったく違います。信州の淡い山吹色、九州の白っぽい麦味噌。そして東海地方の人が思い浮かべるのは、黒に近い赤褐色です。
米麹も麦麹も使わず、大豆と塩だけで造る「豆味噌」。全国でも東海地方だけに深く根付いたこの味噌の代表格が、八丁味噌です。
なぜ東海地方だけ豆味噌なのか
理由のひとつは、気候にあるとされています。
東海地方の夏は高温多湿です。米麹を使った味噌は発酵が進みやすく、この気候では長期保存が難しかった。一方、大豆だけを麹にした豆味噌は塩分と相まって腐敗に強く、蒸し暑い夏を何度でも越えられます。矢作川流域の良質な大豆と水に恵まれたことも、豆味噌文化を後押ししました。
保存性の高い豆味噌は、戦国時代には兵糧としても重宝されたと伝えられています。徳川家康の生誕地・岡崎で八丁味噌が育ったことは、偶然ではないのかもしれません。
二夏二冬と、3トンの石積み
八丁味噌の「八丁」は、岡崎城から八丁(約870m)離れた八丁村という地名に由来します。この地で正保2年(1645年)から味噌を造り続けてきたのが、カクキューです。
製法は創業以来、大きく変わっていません。直径・高さとも2m近い木桶に大豆の麹と塩を仕込み、その上に職人が約3トンもの川石を円錐状に手で積み上げます。地震でも崩れないと言われる石積みは、代々受け継がれる職人技です。
そのまま「二夏二冬」——2年以上の天然醸造。ゆっくりと進む熟成が、濃厚な旨みと、かすかな渋み・酸味の折り重なる味わいを育てます。
カクキュー 八丁味噌——正保2年から続く蔵
カクキューの八丁味噌は、原料が大豆と塩だけの無添加。味噌煮込みうどんも味噌カツも土手煮も、名古屋めしと呼ばれる料理の多くは、この味なくしては語れません。宮内庁御用達の歴史も持つ、日本の豆味噌を代表する一品です。
米麹の甘みに慣れた舌には、最初は硬派に感じるかもしれません。ただ、煮込むほどに旨みが増し、風味が崩れない豆味噌の性質は、他の味噌では代わりが利きません。
八丁味噌の楽しみ方
- 味噌煮込みうどん・赤だしの味噌汁に
- 土手煮(牛すじやこんにゃくの味噌煮込み)に
- 味噌カツのタレ(八丁味噌+砂糖+だし)に
- いつもの味噌に少量混ぜる「合わせ使い」でコクを足す
- デミグラスソースやカレーの隠し味にも
まずは合わせ使いから。いつもの味噌汁に小さじ一杯加えるだけで、東海の食文化の入り口が開きます。
よくある質問
八丁味噌とは何ですか?
愛知県岡崎市の八丁村(現・八帖町)で造られてきた豆味噌です。原料は大豆と塩のみで、米麹を使いません。大きな木桶に仕込み、川石を積んだ重石をのせて2年以上(二夏二冬)熟成させるのが伝統的な製法です。
八丁味噌と普通の味噌は何が違いますか?
一般的な味噌は大豆に米麹(または麦麹)を加えて造りますが、八丁味噌は大豆と塩だけで仕込む豆味噌です。米麹の甘みがない分、濃厚な旨みとかすかな渋み・酸味が生まれ、長時間煮込んでも風味が崩れにくいのが特徴です。
八丁味噌はどう使えばいいですか?
味噌煮込みうどん・赤だし・土手煮・味噌カツのタレが定番です。初めての場合は、いつもの味噌に少量混ぜる「合わせ使い」から始めると使いやすくなります。カクキューの八丁味噌はAmazonなどの通販でも購入できます。

