真冬の妙高。一面の雪原に、真っ赤な唐辛子が点々と撒かれている風景があります。
初めて見る人には謎めいた光景ですが、これは「雪さらし」という、この土地に伝わる調味料づくりの一工程。雪の上の唐辛子は、やがて「かんずり」という発酵調味料になります。
なぜ、雪にさらすのか
かんずりづくりは、塩漬けにした唐辛子を、真冬の雪の上に撒くことから始まります。
数日間雪にさらすことで、唐辛子のあくと余分な塩分が抜け、辛みの角が取れて甘みが引き出されるとされています。冷蔵庫のない時代から続く、雪を「道具」として使う知恵です。日本有数の豪雪地帯である妙高でなければ、この製法は成立しません。
雪から掘り出された唐辛子は、糀・柚子・塩とともに仕込まれ、そこから3年以上の発酵熟成に入ります。原材料は、この4つだけです。
柚子胡椒との違い——「発酵」がつくる丸い辛さ
唐辛子と柚子の組み合わせと聞くと、九州の柚子胡椒を思い浮かべる人も多いはずです。
柚子胡椒が、生の青唐辛子と柚子の皮を塩で合わせたフレッシュな薬味だとすれば、かんずりは「発酵」の調味料です。3年の歳月の中で糀が働き、辛さの奥に、味噌にも通じる深い旨みと甘みが折り重なります。ツンとくる辛さではなく、じわりと広がる丸い辛さ。薬味でありながら、だしのような仕事もするのが、かんずりの独特なところです。
かんずり 3年熟成——妙高の一瓶
この調味料を守り続けているのが、妙高の「かんずり」社です。社名がそのまま商品名になっていることからも、この土地の食文化との結びつきの深さがうかがえます。
看板の「かんずり 3年熟成」は、雪さらしから発酵まで、昔ながらの工程を経た一瓶。豪雪という土地の条件を、そのまま旨さに変えた、日本でも類のない辛味調味料です。
かんずりの楽しみ方
- 鍋物の薬味の決定版に。湯豆腐・水炊き・きりたんぽ鍋と好相性です
- 味噌汁やラーメンに溶かして、発酵の旨みごと辛さを足す
- 焼き鳥・焼肉に、わさびや辛子の代わりに添える
- 刺身に少量。特にブリなど脂の乗った魚に合います
- パスタやペペロンチーノの隠し味に
まずは鍋の薬味からどうぞ。ポン酢にほんの少し溶くだけで、雪国の三年分の時間が、ひと椀に加わります。
よくある質問
かんずりとは何ですか?
新潟県妙高市に伝わる発酵辛味調味料です。塩漬けした唐辛子を真冬の雪の上にさらしてあくを抜き、糀・柚子・塩とともに3年以上発酵熟成させて造ります。原材料は唐辛子・糀・柚子・塩の4つだけです。
なぜ唐辛子を雪にさらすのですか?
「雪さらし」と呼ばれる工程で、雪の上に数日置くことで唐辛子のあくと塩分が抜け、辛みがまろやかになり甘みが引き出されるとされています。豪雪地帯の妙高だからこそ生まれた、雪国ならではの知恵です。
かんずりと柚子胡椒の違いは何ですか?
どちらも唐辛子と柚子を使いますが、柚子胡椒が生の唐辛子と柚子の皮を塩で合わせたフレッシュな薬味なのに対し、かんずりは雪さらしした唐辛子を糀とともに3年以上発酵させます。発酵由来の旨みと丸い辛さが、かんずりの持ち味です。

