京都の白味噌雑煮を初めて口にした人は、その甘さに驚くと思います。味噌汁というより、ぽってりと甘いポタージュのような一椀。関東の合わせ味噌の感覚からは、同じ「味噌」とは思えないかもしれません。
この甘さの主役が、西京味噌です。「白味噌と何が違うのか」と聞かれることの多いこの味噌の正体を、順に見ていきます。
「西京」の名は、都の味噌という誇り
白味噌は、米麹を多く使った甘口の淡色味噌の総称です。香川の讃岐白味噌など、京都以外にも産地があります。その中で「西京味噌」と呼ばれるのが、京都で造られてきた白味噌です。
名前の由来には、明治維新で都が東京(東京)へ移った際、京都を「西の京」と呼んだことにちなむとされています。そしてこの名を社名として受け継ぐのが、天保元年(1830年)創業の蔵元「西京味噌」。京都御所の御用を務めた流れをくむ、白味噌の本家本元です。
甘さの設計図——麹2倍、塩分半分
西京味噌の甘さは、偶然ではなく設計されたものです。
第一に、麹歩合。米麹を大豆のおよそ2倍という贅沢な割合で仕込みます。麹の酵素が米のでんぷんを糖に変え、砂糖を加えなくても、ふくよかな甘みが生まれます。
第二に、塩分。一般的な味噌の塩分が12%前後なのに対し、西京味噌は約5%と半分以下です。塩けが引っ込む分、甘みがまっすぐ前に出ます。
第三に、熟成期間。長期熟成で色と旨みを深める赤味噌とは逆に、短期熟成の「若味噌」として仕上げるため、色は淡いクリーム色のまま、絹のようになめらかな質感になります。
西京味噌 西京白みそ 上撰——御所に愛された白
蔵元・西京味噌の「西京白みそ 上撰」は、この製法を今に伝える定番の一品です。銀鱈の西京漬け、京都のお正月の白味噌雑煮——京料理の「はんなり」とした甘さの正体は、この味噌にあります。
塩分が低いため保存性は普通の味噌より短めですが、それは甘さと引き換えの、若味噌ならではの性質です。
西京味噌の楽しみ方
- 銀鱈・鰆・鶏肉を2〜3日漬け込む西京漬けに
- 丸餅を入れた京風の白味噌雑煮に
- 酢味噌和え(ぬた)のベースに
- バターと合わせて味噌バターソースに。鮭やきのこと好相性です
- 豆乳と溶いて、洋風スープの隠し味に
まずは西京漬けから。漬けて焼くだけで、家の食卓に京料理の一皿が並びます。
よくある質問
西京味噌と白味噌の違いは何ですか?
白味噌は米麹を多く使った甘口の淡色味噌の総称で、西京味噌はその中でも京都で造られる白味噌を指します。名前の由来となった蔵元「西京味噌」は天保元年(1830年)創業で、京都御所の御用を務めた流れをくみます。麹歩合と塩分の低さが特徴です。
西京味噌はなぜ甘いのですか?
米麹を大豆のおよそ2倍という高い割合で仕込むため、麹の酵素が生む米由来の甘みが強く出ます。さらに塩分が約5%と一般的な味噌(約12%)の半分以下で、熟成期間も短いため、塩けより甘みが前に立つ味わいになります。
西京味噌はどんな料理に使えますか?どこで買えますか?
銀鱈や鰆の西京漬け、京都のお正月の白味噌雑煮、酢味噌和えが定番です。バターや豆乳とも相性が良く、洋風の隠し味にも使えます。西京味噌の「西京白みそ 上撰」はAmazonなどの通販で購入できます。
