味噌汁を飲み比べると、地域によって甘さがまったく違うことに気づきます。特に九州や四国の味噌汁は、他の地域よりもほんのり甘いと感じる人が多いはずです。
その理由は、味噌の主原料である「麹」の違いにあります。
麹の違いが、味噌の個性を決める
味噌は、大豆に麹と塩を加えて発酵させた発酵食品です。この麹に何を使うかで、味噌の種類が分かれます。米麹を使えば米味噌、大麦や裸麦から作る麦麹を使えば麦味噌です。
麦麹は米麹に比べて糖化力が高く、大豆のたんぱく質をアミノ酸に分解する働きも穏やかです。その結果、麦味噌は甘みが出やすく、香ばしい香りを持つ味噌に仕上がります。同じ「味噌」という名前でも、原料の違いが味わいを大きく変えているのです。
なぜ九州の味噌汁は甘いのか
九州や瀬戸内地方では、稲作に適さない土地でも育つ大麦・裸麦が古くから栽培されてきました。そのため、この地域では大豆より麦麹を多く使う麦味噌が主流になったとされています。
麦麹由来の自然な甘みに加え、塩分を控えめに仕込む蔵が多いことも、九州の味噌汁がやさしい甘さになる理由のひとつです。米味噌に慣れた舌には新鮮な驚きがありますが、この地域では昔から当たり前の味なのです。
生きたまま詰める、大分の麦味噌
大分県臼杵市のフンドーキン醤油は、文久元年(1861年)創業。160年以上、この九州の味を守り続けてきた醸造元です。
看板の「生詰無添加麦みそ」は、大豆より麦麹を多く使う仕込みに加え、加熱殺菌をせず酵母が生きたまま詰める「生詰」製法が特徴です。無添加のやさしい甘さは、九州の家庭の記憶そのもの。麦味噌にはじめて触れる人の、最初の一杯にふさわしい一本です。
愛媛県松前町の義農味噌が造る「国産伊予のみそ」も、裸麦生産量日本一の愛媛らしい麦味噌。塩分約8.5%と控えめに仕上げられ、麦の香ばしさと自然な甘さが際立ちます。
楽しみ方
- 豚汁・さつまいもの味噌汁:麦味噌の甘みと根菜の甘みが重なり合います
- 冷や汁:宮崎・愛媛など各地の郷土料理に古くから使われてきた組み合わせです
- 味噌田楽・きゅうりのディップ:そのままの甘さを楽しめる食べ方です
- 合わせ味噌:いつもの米味噌に少量混ぜるだけでも、香ばしさが加わります
米味噌に慣れた人ほど、麦味噌の甘さは新鮮な発見になるはずです。まずは味噌汁一杯から、麦の国の味を確かめてみてください。
よくある質問
麦味噌と米味噌は何が違うのですか?
使う麹の原料が違います。米味噌は米麹、麦味噌は大麦・裸麦から作る麦麹を使います。麦麹は米麹に比べて糖化力が高く甘みが出やすいため、麦味噌は塩分が控えめでも甘く感じられる味噌に仕上がります。
九州の味噌汁はなぜ甘いのですか?
九州や瀬戸内地方では、古くから大豆より麦麹を多く使う麦味噌が主流だったためです。麦麹由来の甘みに加え、塩分を抑えた仕込みが多く、他地域の味噌汁に比べてほんのり甘く感じられます。
麦味噌が初めての人にはどれがおすすめですか?
大分県臼杵市のフンドーキン「生詰無添加麦みそ」が代表格です。加熱殺菌をしない「生詰」製法で酵母が生きたまま詰められており、麦味噌ならではの香ばしさと甘さを穏やかに楽しめます。

