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脱脂加工大豆とは?醤油の原材料名にある理由と、ヘキサンや遺伝子組換えの疑問

脱脂加工大豆とは

  • 脱脂加工大豆は大豆から油を抜いたあとの、たんぱく質の多い部分です。国内の醤油の約8割がこれで造られています。
  • 油はn-ヘキサンで抽出しますが、沸点が低く加熱で取り除かれるため、製品に残らない加工助剤の扱いです。
  • 醤油に使われ始めたのは第二次世界大戦中。原料不足をきっかけに製法が確立されました。
  • 味はキレと強いうま味が持ち味。まろやかさを求めるなら、原材料名が「大豆」だけの丸大豆醤油を選びます。

醤油の瓶を裏返すと、原材料名の先頭に「脱脂加工大豆」と書かれていることがよくあります。大豆とどう違うのか、なぜわざわざ加工してあるのか。ラベルには説明がありません。

脱脂加工大豆は、大豆から油を搾ったあとに残る部分を、醤油の原料向けに加工したものです。国内で造られる醤油のおよそ8割が、この原料を使っています。

脱脂加工大豆の作り方

大豆は重さの約20%が油分、約35%がたんぱく質でできています。醤油のうま味のもとになるのはたんぱく質のほうで、麹菌の酵素がこれをアミノ酸に分解します。油分は、醤油のうま味には直接つながりません。

そこで大豆油を製造する工程で油を抜き、残った部分を醤油に回します。油の抽出には、n-ヘキサンという溶剤を使うのが一般的です。100kgの大豆から得られる脱脂大豆は約77kg。油が抜けたぶん、たんぱく質の割合は37.7%から48.2%に上がります。

醤油用には、たんぱく質の変性の度合いを中程度にそろえて加工します。こうして醤油向けに仕上げたものが、原材料名に書かれる「脱脂加工大豆」です。

醤油に使われるようになった経緯

戦前の醤油は、丸ごとの大豆で造るのが当たり前でした。油を搾ったあとの大豆は「大豆粕」と呼ばれ、主に飼料や肥料に回されていました。

転機は第二次世界大戦です。海外からの原料輸入が止まり、醤油業界は深刻な原料不足に陥りました。限られた大豆を油と醤油の両方に使い切るため、搾油後の脱脂加工大豆で醤油を造る製法が確立されます。戦後、GHQが脱脂加工大豆をアミノ酸業界へ優先して配分しようとした際には、野田醤油(現キッコーマン)が醸造期間を縮める製法を改良し、その特許を業界に無償で公開しました。

脱脂加工大豆はたんぱく質の割合が高く、発酵が早く進みます。同じ量の原料から多くの醤油を、短い期間で造れる。これが戦後に広まり、今も主流である理由です。

ヘキサンと遺伝子組換えの表示

「溶剤で油を抜いた原料は体に悪いのでは」という疑問は、検索でもよく見かけます。n-ヘキサンの沸点は68〜70℃と低く、抽出のあと加熱すれば蒸発して抜けます。そのためヘキサンは製品に残らない加工助剤として扱われ、原材料名に表示する義務もありません。醤油のJAS規格でも、脱脂加工大豆は正規の原料として認められています。

遺伝子組換え大豆については、醤油は表示義務の対象外です。醸造の過程で大豆のたんぱく質が分解され、製品から組換えの痕跡が検出されないためです。気になる場合は、メーカーが自主的に載せている「遺伝子組換えでない」の表示や、「国産大豆」の記載を手がかりにします。

醤油のほかでは、粒状の大豆たん白(大豆ミート)や家畜の飼料にも、脱脂大豆が広く使われています。

脱脂加工大豆と丸大豆の味の違い

脱脂加工大豆で造った醤油は、香りが立ち、キレのある強いうま味になります。丸大豆の醤油は、残った油分が熟成の間に分解され、まろやかで角の取れた味になるとされます。醤油情報センターは、うま味の強さだけなら脱脂加工大豆のほうが高い醤油を造れると説明しています。

使い分けるなら、煮物や炒め物のように砂糖やみりんと合わせる料理は脱脂加工大豆の醤油で十分です。冷奴や卵かけご飯のように醤油をそのままかける料理では、丸大豆のまろやかさがはっきり分かります。原材料名での見分け方と丸大豆の蔵については、丸大豆醤油と普通の醤油の違いで詳しく書いています。

原材料名が「大豆」だけの醤油

熊本県宇城市の松合(まつあい)は、有明海に面した白壁土蔵の港町です。文政10年(1827年)からここで醸造を続ける松合食品の「天然醸造九州丸大豆しょうゆ」は、九州産の丸大豆と小麦で仕込むこいくち醤油です。甘口が主流の九州にあって、大豆の油分ごと発酵させた丸い旨みを持っています。

島根県の奥出雲では、慶応3年(1867年)創業の井上醤油店が「古式じょうゆ」を造っています。国産丸大豆と国産小麦を使い、大豆を多めに配合する古式製法で、酵母を加えずに熟成させます。大豆の比率が高いぶん、濃く骨太な旨みになります。

選び方

次に醤油を買うとき、原材料名の一行目を確かめてみてください。

よくある質問

脱脂加工大豆とは何ですか?

大豆から油分を取り除いたあとの原料です。大豆は重さの約20%が油分、約35%がたんぱく質でできており、油を搾ったあとに残るたんぱく質の多い部分を、醤油の原料向けに加工したものを脱脂加工大豆と呼びます。国内の醤油の約8割がこの原料で造られています。

脱脂加工大豆は体に悪いのですか?

油の抽出にはn-ヘキサンという溶剤が使われますが、沸点が68〜70℃と低いため、加熱工程で取り除かれます。ヘキサンは製品に残らない加工助剤の扱いで、原材料名への表示義務もありません。醤油のJAS規格でも正規の原料として認められています。

丸大豆の醤油を選びたいときはどこを見ればよいですか?

ラベル裏の原材料名を見ます。「大豆」とだけ書かれていれば丸大豆、「脱脂加工大豆」とあれば油を抜いた原料です。熊本の松合食品「天然醸造九州丸大豆しょうゆ」や、島根の井上醤油店「古式じょうゆ」は、原材料名に「大豆」とだけ書かれる丸大豆仕込みの醤油です。

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