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関西の醤油:淡口・発祥の地・古都の蔵|府県別の選び方とおすすめ銘柄

関西の醤油の選び方

  • 関西の醤油の代表は淡口。江戸時代前期に兵庫・龍野で生まれたとされ、色を淡く仕上げたい料理に使います。
  • ただし関西は淡口だけではありません。和歌山・湯浅は「日本醤油発祥の地」、奈良・滋賀には長期熟成の濃口を造る蔵が残っています。
  • 選び方は料理の仕上がりの色で決めるのが基本。煮物・お吸い物は淡口、卵かけご飯・冷奴は濃口。
  • はじめての一本なら、和食用に龍野の淡口、かけ醤油用に滋賀や奈良の熟成濃口を。

関西で煮物やうどんを食べると、色の淡さに驚くことがあります。茶色く煮しめた関東の煮物とは見た目がまるで違うのに、だしと素材の味はしっかり届く。その仕上がりを支えているのが、関西で生まれた淡口(うすくち)醤油です。

ただ、「関西の醤油=淡口」で終わらせてしまうのは少しもったいない。関西には醤油発祥の地とされる町があり、古都には100年を超えて濃口を仕込み続ける蔵もあります。以下、府県ごとに関西の醤油を見ていきます。

関西の醤油は「淡口だけ」ではない

先に全体像をまとめておきます。

府県 土地の醤油 この記事で紹介する蔵
兵庫 淡口醤油の発祥の地・龍野(たつの市) 末廣醤油(明治12年創業)、ヒガシマル醤油
和歌山 「日本醤油発祥の地」と呼ばれる湯浅町 丸新本家(明治14年創業)
奈良 醤(ひしお)の文化が花開いた古都 井上本店(元治元年創業)、ニシキ醤油(明治33年創業)、向出醤油醸造元(明治12年創業)
滋賀 湖東平野・愛知川のほとりの醤油蔵 丸中醤油(寛政年間創業)

淡口の発祥地、醤油そのものの発祥地、そして長期熟成の濃口を守る蔵。関西の醤油はこの3つの顔を持っています。

兵庫・龍野:淡口醤油が生まれた町

淡口醤油は、江戸時代前期に播磨の龍野(現・兵庫県たつの市)で生まれたとされています。揖保川の鉄分が少ない軟水、播州平野の米と小麦、赤穂の塩。色の淡い醤油を生む条件がこの土地に揃っていたと言われ、龍野の淡口は京料理と懐石文化を支えてきました。

淡口は、だしや素材の色をそのまま活かしたい料理のための醤油です。「うすくち」の「うす」は味ではなく色を指しており、薄味の醤油という意味ではありません。使い分けや濃口からの置き換え方は淡口醤油の使い方で詳しく解説しています。

末廣醤油 本造りうすくちしょうゆ

明治12年(1879年)創業の末廣醤油は、淡口発祥の地で天然醸造を守る小さな蔵です。温度をかけて発酵を急がせず、四季の気温に任せてじっくり熟成させます。原料は国産丸大豆と国産小麦100%。

だしを張った煮物を作ると、だしの色がそのまま透けた炊き合わせに仕上がります。容量は500mlで、はじめての淡口として選びやすい一本です(末廣醤油 本造りうすくちしょうゆ)。

ヒガシマル醤油 牡蠣だし醤油

同じたつのの醤油メーカー、ヒガシマル醤油の「牡蠣だし醤油」は、瀬戸内海の牡蠣のエキスにかつおと昆布のだしを合わせただし醤油です。素材の色を活かすために淡口醤油を合わせて造られており、塩分はこいくち醤油より25%少なく仕上げられています。卵かけご飯や冷奴にかけるだけで味が決まります(ヒガシマル醤油 牡蠣だし醤油)。

和歌山・湯浅:「日本醤油発祥の地」

和歌山県湯浅町は「日本醤油発祥の地」と呼ばれています。鎌倉時代、金山寺味噌を仕込む樽の底に溜まった液こそが醤油の始まりだったと伝えられています。くわしい経緯は醤油発祥の地・湯浅の物語にまとめました。

丸新本家 湯浅醤油 生一本黒豆

明治14年創業の丸新本家は、湯浅で醤油と金山寺味噌を造り続けてきた蔵です。「生一本黒豆」は、契約栽培の丹波黒豆を100%使い、杉の木桶で1年以上天然醸造した一本。黒豆ならではのまろやかな甘みとふくよかなコクがあり、モンドセレクション最高金賞を受けています。

まずは刺身醤油として。湯豆腐やだし巻き卵、煮物の仕上げにも合います(湯浅醤油 生一本黒豆)。

奈良:醤(ひしお)の古都に残る蔵

醤油のルーツをたどると、古代の発酵調味料「醤(ひしお)」に行き着きます。その醤の文化が花開いたのが、都のあった奈良だとされています。いまの奈良には、100年を超えて醤油を造り続ける蔵がいくつも残っています。

井上本店 イゲタしょうゆ 濃口

元治元年(1864年)、興福寺・猿沢池の近くで創業した井上本店は、いまは奈良町の南・京終(きょうばて)で、明治期のレンガ蔵とともに醤油を醸しています。原料処理から瓶詰めまで全工程を自社で行う一貫醸造の蔵です。

国産丸大豆・国産小麦・天日塩を使い、蔵でおよそ2年の天然醸造。卵かけご飯や冷奴など、火を入れないかけ醤油で香りの違いがまず分かります(イゲタしょうゆ 濃口)。

ニシキ醤油 ヤマトニシキ 料亭の技 さしみしょうゆ

法隆寺のある斑鳩町で、明治33年(1900年)から醤油を造る蔵がニシキ醤油です。「料亭の技」は、醤油麹を二回仕込み、二年かけて醸造した刺身用の醤油。とろみのある濃さが特徴で、名称は本醸造のたまりしょうゆ、JASの等級は超特選にあたります。まぐろやぶり、白身の刺身に(料亭の技 さしみしょうゆ)。

向出醤油醸造元 醤油詰合せ6本セット

東大寺の転害門のそばにある、明治12年(1879年)創業の蔵です。5代目が原料の選定から麹づくり、もろみの管理、瓶詰めまでを一人でこなしています。

蔵の直売は電話・FAX・メール注文のため、オンラインで申し込めるのは奈良市のふるさと納税の返礼品です。二年かけた濃口2本と薄口1本、一年の甘露(たまり醤油)、ポン酢、だし醤油の6本入りで、一つの蔵の濃口と薄口を飲み比べられます(向出醤油醸造元 醤油詰合せ)。

滋賀・愛荘:蔵付き菌に任せる古式製法

滋賀県愛荘町、愛知川のほとりに、江戸後期から建つ醤油蔵があります。寛政年間(1800年頃)に醤油造りを始めた丸中醤油です。蔵は「二百年蔵」と呼ばれ、建物4棟が国の登録有形文化財に指定されています。

丸中醤油 丸中醸造醤油

丸中醤油は温度管理も人工的な加温も行わず、梁や桶に住み着いた蔵付きの醸造菌に仕込みを委ねる古式製法を守っています。全国でも唯一と言われる蔵です。熟成は基本3年で、原料は国産大豆・国産小麦・天然海塩だけ。

濃口なのに角がなく、まろやか。火を入れず「仕上げの一滴」として、卵かけご飯や冷奴、刺身で香りの立ち方を確かめてください(丸中醸造醤油)。

神戸の寿司屋が造るだし醤油

蔵ではなく、町のお寿司屋さんが造る醤油もあります。神戸で昭和61年(1986年)に店を開いた松鶴寿司の「万能だし醤油」です。鹿児島・枕崎の本枯節を節のまま仕入れて工房で削り、北海道の利尻昆布と合わせてだしを取っています。保存料・着色料・甘味料は無添加で、2022年の調味料選手権では醤油部門で最優秀賞を受けています(松鶴寿司 万能だし醤油)。

だし醤油とめんつゆの違いはだし醤油とめんつゆの違いで整理しています。

料理別:関西の醤油の選び方

迷ったら、仕上がりの色で選んでください。

料理 選ぶ醤油 この記事の銘柄
お吸い物・炊き合わせ・だし巻き卵 淡口 末廣醤油 本造りうすくちしょうゆ
卵かけご飯・冷奴 熟成した濃口 丸中醸造醤油、イゲタしょうゆ 濃口
刺身 刺身用・黒豆醤油 料亭の技 さしみしょうゆ、生一本黒豆
かけるだけで味を決めたい だし醤油 牡蠣だし醤油、松鶴寿司 万能だし醤油
一つの蔵で飲み比べたい 詰合せ 向出醤油醸造元 6本セット

関東の濃口に慣れている家庭なら、まず淡口を一本足してみるのがいちばん違いの分かる選び方です。いつもの醤油はそのままに、煮物とお吸い物だけ淡口に替えてみてください。

関西のほかの醤油文化

関西と隣り合う地域にも、それぞれの醤油があります。

関西の醤油は、関西エリアのページからも府県ごとに探せます。淡口の町、発祥の町、古都の蔵。どこから一本選んでも、その土地の台所がそのまま食卓に届きます。

よくある質問

関西の醤油の特徴は何ですか?

関西でまず名前が挙がるのは、兵庫県たつの市(龍野)で江戸時代前期に生まれたとされる淡口(うすくち)醤油です。素材やだしの色を活かす醤油で、京料理や懐石を支えてきたとされています。ただし関西の醤油は淡口だけではありません。奈良や滋賀には長期熟成の濃口を造る蔵があり、和歌山の湯浅は「日本醤油発祥の地」と呼ばれています。

関西の人は淡口醤油しか使わないのですか?

そうではありません。関西の蔵も濃口醤油を造っており、奈良の井上本店や滋賀の丸中醤油の主力は濃口です。煮物やお吸い物など色を淡く仕上げたい料理には淡口、卵かけご飯や冷奴などのかけ醤油には濃口、と料理で使い分けるのが一般的とされています。

醤油発祥の地は関西にあるのですか?

和歌山県湯浅町が「日本醤油発祥の地」と呼ばれています。鎌倉時代、金山寺味噌を仕込む樽の底にたまった液が醤油の始まりだったと伝えられています。湯浅では明治14年創業の丸新本家などが、今も木桶で醤油を仕込んでいます。

関西の醤油を初めて買うなら、どれがおすすめですか?

和食をよく作るなら、淡口発祥の地・龍野の末廣醤油「本造りうすくちしょうゆ」(500ml)から始めるのがおすすめです。かけ醤油を一本選ぶなら、滋賀・丸中醤油の「丸中醸造醤油」(基本3年熟成)や奈良・井上本店の「イゲタしょうゆ 濃口」(約2年の天然醸造)のように、熟成期間の長い濃口が候補になります。

関西の醤油は通販で買えますか?

買えます。この記事で紹介している銘柄は、Amazon・楽天・蔵の公式通販などで購入できます。奈良の向出醤油醸造元のように蔵の直売が電話・FAX・メール注文のみの場合は、奈良市のふるさと納税の返礼品として申し込む方法があります。

この記事で紹介した一本

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